> 子どもの食育 > 朝ごはんは、どうして必要? 知っておきたい生活リズムと食事の関係
「ほら! ちゃんと食べて!」
「もう時間ないよ!」
本当は、朝から怒りたくないんだけどな〜
子どもがいると、バタバタと慌ただしく過ぎていく朝の時間。ゆったりとした気分で朝ごはんをとりたいと思ってはいても、なかなか思うようにいかないこともありますよね。
そもそも、どうして朝ごはんが必要なの?
朝ごはんの役割と、知っておきたい生活リズムと食事の関係についてお伝えします。
朝ごはんが重要なのは、寝ている間も人の脳は働き続け、エネルギーを消費しているから。
朝ごはんで、寝ている間に失われたエネルギーを脳に補給し、胃や腸など、体全体を目覚めさせてあげることが必要なのです。また、寝ている間に下がった体温を上昇させるはたらきもあります。
よく睡眠をとると、しっかり食べられるのは大人も子どもも同じ。朝ごはんで一日のスイッチを入れ、昼・夜と時間を決めて楽しく食事をとりましょう。
日中は、よく体を動かし、お昼ごはんでエネルギーを補給し、気持ちのよい休息やお昼寝。
そして、また体を動かして遊び、夜は食事を楽しみながら、団らんの時間。食事と運動のリズムを繰り返すことにより、空腹感・満腹感が快感であることがしっかりと子どもの体にうえ付けられていきます。
食事の「時間」を基点に生活リズムをつくっていき、そのリズムによって、空腹を感じて、しっかり食べられる。毎日の食事と生活リズムは、密接にかかわり合っているのです。
赤ちゃんのうちは、不規則だった睡眠と活動のリズムも、離乳食を機にすこしずつ生活リズムを確立する時期になっていきます。
そのためには、大人のサポートが不可欠。生活リズムって、自然にはできないのです。
朝の目覚めから、昼間にむかって体温が上昇し、夜には体温が下がることによって眠りにつく。
人には、「サーカディアンリズム」とよばれる、生まれながらの生物時計が備わっています。
この「サーカディアンリズム」は、25時間周期で、そのままでは少しずつ24時間周期とズレが生じてきます。
これを成長の過程で24時間周期にあわせていくことが必要なのです。
規則的な24時間周期のリズムは、自然と身に付くものではありません。
生体リズムがつくられる乳幼児期に24時間周期をもつ信号(同調因子)を与えることが必要になります。
その信号の役割となるのが、「光と食事、人との関わり」。
日中は陽の光をたっぷり浴び、授乳や食事、周囲の人とのふれあいがあり、夜は灯りを落とした静かな中で眠る。昼と夜のメリハリがある生活と、食事や遊びをとおした周りの人たちとの関わりによって、少しずつ24時間周期のリズムが形成されていきます。
ひとに備わっている生物時計の周期は、25時間。
地球の自転の周期は、24時間でわたしたちはその中で生活しています。
この1時間のズレを調整しないまま生活していると、時差ぼけのような状態がずっと続くことに・・。
時差ぼけの状態では、おいしく食事をとったり元気に活動することは難しいですよね。
さらに、自律神経など体にもさまざまな不調を及ぼしてしまいます。
新生児期から乳幼児期にかけては、中枢神経が急速に発達する時期。
これを過ぎると性能の良い生体時計は得られなくなってしまうといいます。
生活リズムをつけるためには、「起床・朝・昼・夜ごはん・就寝」という5つの生活ポイントを毎日一定の時間にたもつことが大切。小さな子どもには時間の感覚がまだありません。
24時間周期のリズムをつくるためには、大人がはたらきかけが不可欠。毎日同じリズムでの生活を繰り返すことによって、からだの中にだんだんと刻み込まれていき、子どもの頃から習慣づいた生活リズムによって、大人になってから、時間を予測して行動する力がつけられるのです。
生活リズムとは一朝一夕につくられるものではないのですね。
早寝早起きの習慣、食事を決められた時間に食べる、日中からだを動かしてたっぷりあそぶ。メリハリのある生活リズムは、子どもの成長にとっても大切なこと。
離乳食期は、成長とともに1回食、2回食、3回食、と少しずつ大人と同じ食事のリズムに切り替わっていきます。そのタイミングを上手に利用し、「起床・朝・昼・夜ごはん・就寝」の習慣をつけていけるとよいですね。
また、子育てをきっかけに、大人も生活リズムを見直すきっかけ、立て直すきっかけにして、子どもと一緒に毎日を楽しく元気に暮らしていきたいですね^^
つづきます。
次回は、クイック朝ごはんのヒント集をお送りします!
心・栄養・食べ方を育む 乳幼児の食行動と食支援(医歯薬出版刊)
子どもの生体リズム 体内リズム(芽ばえ社刊)
この記事は、モグマグ2017春号 特集「毎日のごはんで整えよう!」生活リズム を再編集しました。
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