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暮らしと食

一杯のコーヒーで産前産後もやすらぎのひと時を。いわい珈琲インタビュー

2019.02.28
高橋さやか WRITER

高橋さやか

一杯のコーヒーで、ホッと一息入れる時間を。
慣れない産前産後の生活の中でも、そんな安らぎの一杯があると心にゆとりができるものですよね。

札幌市月寒とあいの里でコーヒー店を構えるいわい珈琲では、「カップオブエクセレンス(以下COE)」などの珈琲品評会に入賞した特別なスペシャルティコーヒーに加え、産前産後や病気でカフェインを摂取できない方でも安心して飲むことのできる”おいしい”デカフェコーヒー(カフェインレスコーヒー)を提供しています。

店主の岩井貴幸さんに、コーヒーについてのお話をうかがってきました。

<お話をうかがったひと>

岩井 貴幸さん 
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1973年生まれ。98年、豆の焙煎・販売を行う「いわい珈琲」を開店。SCAAコンファレンス、COE審査会等に参加(07年から国際審査員)。同業の仲間とともに独自の仕入れルート開発にも携わる。04年「カフェヒュッテ」オープン。

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おだやかな冬晴れの日、あいの里の住宅街の一角にあるいわい珈琲カフェヒュッテへ。
車を降りると、冬の澄んだ空気の中に、コーヒー豆を焙煎する香ばしい香りが広がります。
木の温かみが感じられる店内でカフェラテをいただきながら、お話を伺いました。

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ーー今日はお時間をいただきありがとうございます。
以前、さんさん助産院で岩井さんのデカフェコーヒーをいただいて、その美味しさにすごく驚いたんです。
今日は、岩井さんのコーヒーへのこだわりや、デカフェコーヒーのお話をうかがえればと思います。

まずは、スペシャルティコーヒーを取り扱うようになった経緯について教えてください。


岩井:開業3年目くらいだったかな。コーヒー屋さん同士でインターネットで交流するサイトがありまして、意見交換をする機会があったんですね。
いろいろな話をしているうちに、同じものを問屋さんから買っていても、品質が変わっていったり・・という話が出てきて
「なんでだろうね?」「材料に問題があるのでは?」なんてやり取りをしていました。

ーーおもしろそうですね。

岩井:参加していたメンバーで実際に会う機会を設けて、交流が続く中で、コーヒーの品評会がアメリカ(マイアミ)である、という話になったんですね。18年くらい前ですかね。
そこで、何人かでアメリカに行って、カンファレンスに参加したんです。

ーーアメリカまで!

岩井:そのカンファレンスで、生産国がブースをだしていたんですが、グァテマラのブースで飲んだコーヒーが衝撃的においしくて。
カップオブエクセレンスという、「その年に取れたその国の一番を決めましょう」というコンペティションで優勝したコーヒーだったんですね。
どうしたら買えるのか?なんてやり取りをしていたら、オークションで落札できるということで、それに参加したのが買い付けの発端ですね。

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岩井:われわれのような小さなお店は、お客さんに伝わる質の高いコーヒーを武器にしなきゃならない。
だから、小さい農家さんが良いものを作ったら、それを欲する我々ができるだけ高い金額、適正な価格で仕入れることで、お互い良い関係を構築していけるようにしていきました。

そうした地道な関係性を築いていくことで、いろいろなところから仕入れられるよう、自分たちのプライオリティを高くしていったんですね。

ーー海外で道を切り開いていったのですね。すごい・・

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コーヒー豆の市場流通価格は、ニューヨークの穀物市場に影響を受けるそうで、穀物相場が下がった場合には、流通コストが生産者コストを下回ってしまうケースも。岩井さんは生産者との良い関係を構築していくことで、優秀な生産者がやめてしまう状況を回避し、質の高いコーヒーを提供し続けてきました。

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ーーコーヒー豆の仕入れルートをご自身と仲間の方達で切り開いてきたということですが、焙煎の技術はどこかで修行を?

岩井:一旦どこかに就職しようとしたんですが、「焙煎をしたいんですけど、1年くらいで辞めます」というと、誰もやとってくれないわけです。そうこうしているうちに「自分でやったら?」と言われまして。
知り合いのコーヒー屋さんに相談したら、焙煎機を貸してくれることになって、そこで焙煎をさせてもらってスタートしました。

ーーすごい行動力!
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岩井:行動力というか、当時は、そんなに考えてなかったですね。
はじめたので辞めるわけにもいかず、一生懸命やっていたらどんどん時間が過ぎていった感じですね。2年目くらいに、ようやく自分で(焙煎用の)釜が買えました。
その後、月寒のお店では煙の問題が出たので焙煎はあいの里に移転して、今に至ります。

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ーー焙煎の技術は独学で?

岩井:そうですね。
ものを作るには、できるだけ早くたくさん失敗した方がいいと思ってまして。
失敗をくり返して検証していく中で、いろいろと自分なりの方法論ができてくるんですよね。

ロジカルに考えて、その確認作業や修正作業ももちろん大切なんだけれど、表に出てくるデータに寄り過ぎると、何をやってるのかよくわからなくなってきちゃうから。
ものをつくるには自分なりの肌感が大事だなと思います。

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ーー肌感。料理をする時も、レシピという方法論はあるけれど、その時その時の肌感覚というか、素材の顔色をうかがうというか・・大事だなと思います。

岩井:コーヒーの場合、一番大事なのは材料なので。材料に対してどういうアプローチをしていくのかで変わってきますよね。液体は最後の結果。

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こだわりの材料と独自の焙煎でつくられる岩井さんのコーヒー。
ものづくりに対する姿勢は、デカフェコーヒーにも同じように向けられます。
「おいしくない」イメージをくつがえすデカフェコーヒー誕生の経緯についてお話をうかがいました。

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ーー初めて岩井さんのデカフェコーヒーを飲んだ時に「普通のコーヒーと遜色がなくておいしいなぁ」と驚いたんです。デカフェコーヒーは、いつ頃からスタートしたのでしょう?

岩井:8年前くらいからですかね。

ーー何かきっかけが?

岩井:98年にいわい珈琲をはじめて、10年以上お店をやっているとお客様の中から、「コーヒー飲めなくなっちゃった」という方が何人かポツポツと出てきまして。
「病気にかかってお医者さんにとめられて、」という方や「妊娠、授乳」など理由はさまざま。
そんな中で、「カフェインレスっておいしくないんだよね」という声がありまして。

ーー確かに、カフェインレスっておいしくないというイメージがありました。

岩井:自分もそう思っていたし、仲間内でもそういう話題があったんですね。そこで、おいしくないのはどうしてだろう? と考えていくうちに、もともとの材料が問題があるのではないかと。

ーー材料に?

岩井:カフェインレスコーヒーを作る工程で、生豆からカフェインを抽出するんですが、生豆を水につけるウォータープロセスという方法と、臨海処理とよばれる真空処理をするという方法の2種類があります。
(参考:ウィキペディア

ウォータープロセスでは、カフェイン以外のコーヒー豆の成分が飽和状態になった液体に豆をいれることで、カフェインが抜けるんです。カフェイン以外の成分の損失が比較的抑えられる方法ではあるんですが、どうしてもコーヒー豆の欠損、ダメージがあります。
それならば、良い材料を使うことで欠損、ダメージをカバーして味の良さをキープしよう、ということで作ったのが、このカフェインレスコーヒーです。

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ーーなるほど。もともとおいしい材料を使っていれば、おいしいものができる。ということなんですね。

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岩井:産前産後をいれると2年半くらいは、カフェイン取るのやめようかなという人がいるわけですよね。
飲みたいけど飲めないって、なかなかのストレスじゃないですか。ただでさえ、色々がまんすることも多いと思うので。

ーー確かに、がまんすることは多いですね。

岩井:コーヒーを飲んで誰かがほっとしたり、リセットしたり、スイッチが入ったり、どこかのお母さんが少し心に余裕ができてニコニコできたり。
それがコーヒー屋ができる世界平和への貢献というか、身近なところでできる社会貢献ですよね。
もっと深いところで行くと産地の人の生活の安定とかありますけどね。

多少普通のコーヒーよりも物足りなさがあったとしても、おいしさが感じられるものをつくりたいなと。
心に余裕がなくなっている人が少しでもふわふわした心になるのを、カフェインレスコーヒーがお手伝いできたら嬉しいですよね。

安心して飲めるものがあることで、心持ちが変わったり、それを大切な人と共有できるといいなと思います。

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品評会で、生産国の方たちと真摯な関係を築いてきた岩井さんは、07年からは国際審査員として海外の品評会に参加するほどに。

実は、いわいコーヒーを始める前は福祉関係のお仕事をされていたそう。
辞めてどうしようか?となった時に、自分の好きなものを形にして人に褒めてもらえることを仕事にしようと決意します。
候補にあがったというのが、車、バイク、コーヒー、そば、家具。「コーヒー屋が一番よくわからなかったんですね。定説になっているものが、翌日には変わっていたりする世界で、わからないまま続けてきて気づいたら20年経っていました」と明るく話してくれました。

仕事に対する姿勢や開業時のエピソードなど、自分で仕事をつくり切り開いてきた経営者の先輩としても学ぶことの多いインタビューとなりました。執筆のおともには、もちろんいわいコーヒーを。

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【取材協力】
いわい珈琲『カフェ・ヒュッテ』

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住所/北海道札幌市北区あいの里3-4-1-5(GoogleMapが開きます)
TEL&FAX/0800-600-5294
営業時間/11:00~17:00
定休日/日曜・祝祭日

岩井さんのこだわりがつまったデカフェコーヒー。

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今回、便利なドリップパックをモグマグオリジナルパッケージで作っていただきました。
ホッと一息つく時間や、お友達への贈り物にいかがでしょう。

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WRITER

食育フリーマガジン『mogmag(モグマグ)』代表取締役 編集長。
食育アドバイザー/幼児食インストラクター。

寒くて暑い旭川市出身。幼少期はおもに、自然豊かな「お米とでんすけすいかの街」当麻町にある祖母の家で、田んぼと畑を走り回って過ごしました。「思い出にはいつも食べものがある」食いしん坊の料理好きです。
大学進学を期に北海道をはなれ、都会の荒波にもまれる。卒業後、札幌にうつり印刷会社、広告代理店などをへて、2010年実父とお酒と音楽のお店 oyacoをオープン。
デザイン、イベントの企画運営、店舗運営に携わり、「占ナイト」「モテナイト」などユニークなイベントを展開。2012年惜しまれつつ閉店しました。
2012年よりフリーランスのグラフィックデザイナーとして活動し、2013年に長女を出産。
子育てをきっかけに「子どもと食」の大切さを見直し、2015年食育フリーマガジンmogmag(モグマグ)を創刊しました。
「ママも子どもも笑顔の食卓」をテーマに情報を発信し、おいしい笑顔をはぐくんでいます。
北海道新聞『朝の食卓』にて、コラム執筆中です。

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http://www.sayakat.com

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