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子どもがかまずに丸飲みしてしまう! そんな時、どうする?

2018.05.08
モグマグ編集部 WRITER

モグマグ編集部

「カミカミ、ごっくん」
ーよく噛んで食べることは、脳に刺激をあたえ、丈夫な歯と体を育てるためにとても大切。
けれど、よく噛まずに丸飲みしてしまうという子もいますよね。

marunomi02モグマグの読者の方からも「お子さんが丸飲みしてしまう」というお悩みをいただきました。
そこで、今回は北海道文教大学人間科学部健康栄養学科講師の手嶋哲子先生にお話をうかがってきました。

子どもが噛まずに丸飲みしてしまう…


―― 子どもが噛まずに丸飲みしてしまう場合、どのように対応したら良いのでしょう?

手嶋 まずは、乳幼児期の歯の成長についてお話しましょう。
この時期は、口の中の変化が非常に大きい時期です。

1歳6ヶ月頃より奥歯(第一乳臼歯)が生え始めます。その後、2歳6ヶ月から3歳にかけて奥歯(第二乳臼歯)が生え、上下合計20歯が生えそろうと安定して「噛む」ことができるようになります。
ここで、重要なのが「かめない」と「かまない」では問題が大きく違ってくるということです。

 

―― 「かめない」と「かまない」の違いですか。考えたこともありませんでした。それぞれに対応の仕方が異なるのでしょうか?

marunomi01手嶋 「かめない」とは、食べる機能の発達に問題があって噛むことができない場合です。
これは、健康に育っているお子さんにはあまり当てはまらない場合が多いようです。

一方で、「かまない」とは、お子さんが何らかのかみたくない理由があって、子ども自身の意思で噛むことを拒否している場合になります。

 

―― 「かまない」は子ども自身の意思が関わってくるのですね。では、子どもが「かまない」子どもだった場合、どのようなことを考えると良いのでしょうか?

手嶋 大きく分けると3つの要因が考えられます。
お子さんがどれにあてはまるのかを考え、工夫してみてください。

①口の中の状態に食べ物の形が適していない場合
第一乳臼歯が生え始めた程度では、肉や野菜をかむのは難しいと思われます。食べることができなくても問題はありません。

②かむのを拒否している場合
具体的に以下のような状態があります。

・お子さんのお腹が空いていないのにもかかわらず、食べさせようとしている時。
・お子さんが満腹に近い状態であるにも関わらず、親が考える規定量を食べるのを強制している時。
・食べることよりも、遊ぶことの方がお子さんの興味をひいている時。
 
お腹が空いていないのに食べさせようとすると、子どもはとりあえず口に食べ物を入れますが、「かまない、飲み込まない」などの行動をとるようです。「口にためて飲み込まな子」にも同じ要因が関わっている場合が多いようです。

③食事時間、就寝、起床時間、間食の時間や量、遊びなどの点で問題がある場合
以下のような問題が考えられます。

・生活リズムが全般に不規則になっている。
・家の中で過ごし、外遊びの機会が少ない。
・運動量が少なく、空腹をあまり感じていない。
・おやつやジュース、牛乳が食事の代わりになっている。

 

―― ひと口に「かめない」と言ってもさまざまな要因がからんでいるのですね。

手嶋 「かまない」「飲み込まない」などの食事に関する問題は、一つの原因だけで起きているのではないようです。

食べることへの思いが強いママやパパは、お子さんに対して食べることを強制していないでしょうか?
食事に集中できる環境になっているでしょうか?お子さんはお腹が空いているでしょうか?
「かまない」というお子さんの行動をきっかけに、生活を見直していただけると良いと思います。


「かめない」「かまない」の原因はさまざま。

環境や生活リズムの見直しとともに、「食べさせなきゃ!」と必死になることよりも、親子で食事の時間を楽しむことを大切にしたいですね。

okayu06読者の皆さんも、お子さんの様子をみて工夫してみてくださいね。

■教えてくれた人
北海道文教大学 手嶋哲子 先生

tejimatetsuko管理栄養士。北海道文教大学 人間科学部 健康栄養学科 講師。平成26年~恵庭市食育推進協議会会長、平成24年4月~公益社団法人北海道栄養士会生涯学習研修会実行委員会委員長。著書に『地域栄養活動論』(共著/同文書院)、『公衆栄養学実習(共著/同文書院)。
自身も3人姉弟(娘1人、息子2人)の母であり、4歳と0歳の孫がいる。

参考資料
・向井美恵編著「乳幼児の接触指導」/医歯薬出版/2000年

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