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お母さんが笑顔なら、赤ちゃんも笑顔になれるーー心の雪が降り積もる前に知っておきたい、産後ケアの話

2018.10.03
高橋さやか WRITER

高橋さやか

「もっと早く知りたかった」ーー産後ケアについて、初めてお話を聞いた時思わず口をついて出た言葉。
「誰もが通ってきた道だから、きっとできるはず」妊娠・出産を経験する前、そんな風に思っていたんです。けれど、初めての子育ては想像以上に不安や戸惑いが多く、心も体も疲労困憊。「いい加減」がわからずに疲れ果ててしまった自分がいました。

最近は、「産後うつ」などネガティブなイメージもつきまとう子育てですが、せっかく生まれてきてくれた赤ちゃんだから楽しく子育てしたいですよね。
お母さんが元気で笑顔なら、赤ちゃんもきっとご機嫌でいられる。そんな想いから、産前・産後ケアや母乳育児相談など、様々なサポートを提供している産後ケアハウス さんさん助産院院長の大友洋恵さんにお話をうかがってきました。

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■お話をうかがった人
大友 洋恵さん

sansan_09産後ケアハウス さんさん助産院 院長 助産師
利尻富士町出身 1989年より看護師として働き始め、1992年助産師免許取得。大阪の産院勤務時、産後に不安を感じたり、困っているお母さんたちの声を聞き産後ケアの必要性を感じる。2014年3月、北海道内初の宿泊型産後ケア専門助産院「さんさん助産院」開設。2016年3月、第1回SAPPOROベンチャーグランプリで優秀賞受賞。

sansan_10各宿泊室にはアメニティや家電、ドレッサー、Wi-Fiが完備。女性専用のシャワールームもあります。


ーー今日はお時間をいただきありがとうございます。まずは、産後ケアって何?というところからお話をうかがいたいのですが。

大友:昔は、床上げといって産後8週間は水に触っていはいけない、あまり動いちゃいけないという期間があったんですね。
その期間って、そもそも出産で傷ついた体が元に戻るまでに必要な期間。昔は大家族だったり、お母さんが専業主婦で手伝ってくれたり・・ということが可能だったんですが、だんだんと日本の生活環境が変わってきた。
おばあちゃんが仕事をしていたり、介護をしなければならなかったり・・さまざまな事情で、産後に、お母さんをサポートしてくれる人が身近にいない、という背景があります。

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ーー確かに。私の母も日中は働いていたり、実家から離れたところで出産した友人は周りに頼れる人がいなくて・・という話を聞きます。

大友:それと、もう一つの背景として出産するお母さんが高齢になったということもあります。
人生経験を積んだお母さんが、これまでは仕事なり勉強なり、頭で考えて頑張ればできてきたのが、赤ちゃんはそうはいかない。
そのギャップに悩むお母さんが多かったり、周りに子育てをしている人が少ないことで、何をどうしたら良いかわからない。
お母さん自体の基礎体力が昔と比べ落ちていること、そういった社会背景の変化から、お母さんをサポートするために産後ケアというものが生まれ、少しずつ広まってきたんです。

ーー頭で考えて、頑張ればできたのがうまくいかない・・すごくわかります。

大友:産後ケアを通して、気持ちと体をゆっくり休めてもらって、これからの子育てを楽しんでもらうことを目標としています。

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ーー産後ケアをはじめたきっかけというのは?

大友:10年ほど前に、大阪で助産師をしていた時期があったんですが、大阪って商売の町でしょう。
なので、家に帰っても頼れる人がいないというお母さんが多かった。
「このままで大丈夫なのかな? あと一日二日丁寧に関わってあげられたら・・」と思ったことがきっかけです。ちょうど、東京などで産後ケアの施設ができ始めた頃でした。
そのまま大阪で産後ケア施設をはじめても良かったのですが、ちょうど北海道に戻ってくるきっかけがあって、札幌で2014年にさんさん助産院をスタートしました。

ーー現場で感じた想いをあたためてきての開業だったのですね。実際にさんさん助産院をスタートしてどうでしょう?

大友:来た時には元気が無くて、少食だったお母さんが、帰る頃には元気になってご飯をモリモリ食べている姿を見たり、産後ケアを受けた後も繋がりを持って来るたびにお母さんの笑顔を見られると、やってよかったなと思いますね。
「すごく大変だったけど、知らなかったから頑張って過ごしちゃった・・」という声を聞くと、知らないで過ごした人はかわいそうだなと。

ーーそれ私ですね。笑 もっと早く知りたかったです。

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大友:第2子が生まれたら全力でサポートしますよ!笑
お母さんが笑顔になると、赤ちゃんも笑顔になって、さらにお父さんも・・笑顔の連鎖が生まれるのが嬉しいですね。まずはお母さんが笑顔にならないと。
そんな想いでお母さんや赤ちゃんたちと関わっています。

ーー産後ケアの他にも、母乳育児相談などさまざまな取り組みをされていますよね。

大友:そうですね。ベビーマッサージ、抱っことおんぶの会といって抱っこ紐の正しい使い方を知ってもらう教室をやったり、カフェなどお母さんたちの溜まり場になるような企画を考えてやっています。
カフェでご飯を食べながら、初めての人同士も会話をして少しでもリラックスする時間を提供できたらと。

ーーカフェではどんなメニューを?

大友:お母さんたちの食べたいものを聞いて、食事班のさとちゃんがメニューを考えてくれます。
普段自分たちが食べられないものや作ろうと思えないもの、例えばラーメンとかをリクエストしてくれるお母さんもいます。
キッズプレートも出していて、反応が良かったものや、お家でも作りたいという人には、レシピをお伝えしています。モグマグのレシピも活用していますよ。

ーーありがとうございます!インスタグラムにも載せていただいて・・私が作ったのより素敵でした。

食育フリーマガジンmogmag 13号で紹介した手まり寿司を作ってくれました!(さんさん助産院Instagramより)

ラーメンとかって、子どもが小さいとなかなか食べにいけないからうれしいですね。産後の食事で気をつけることはありますか。

さとちゃん:濃い味にならないように、薄味で野菜をたくさん食べられるように心がけています。あとは、ストレスなく食べたいものを食べてゆっくりしてもらうのがいいのかな、って思いますね。

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食べたいものって体が欲しているものだと思うので、押し付けるのではなくて、食べたいものを食べてもらうので良いんじゃないかと思っています。
例えば、ラーメンなど子どもを連れてだと行けないので、そういうものだったり、煮物、和え物など実家に帰って来たようなホッとするようなものも提供しています。彩りが綺麗に、食が進むように考えて、元気にたくさん食べてもらえるようにと思いながら、作ってます。

大友:母乳だと、食べたものが赤ちゃんにかえっていくというのはあるけれど、ストレスがたまることが一番ダメなので。お母さんが笑顔になれるよう、食事だけでなく体のメンテナンスも大事。血行をよくしたり、肩こりをなくしたり。
お母さんが疲労困憊してしまうと意味がないので。

ーーわぁーそれまさに私です・・血行悪く、肩こりで、疲労困憊してました。。

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大友:子どもが生まれると、やらなきゃいけないことはあるけど、泣かせることは悪じゃないということも知っておくと随分気が楽になりますよね。泣くことが赤ちゃんのストレス発散だったりもするので。
お母さんは自分を責めちゃうけど、泣き止ませなきゃって思う必要は無くて、なるべく自分を責めないように。肩の力を抜いて過ごしてもらえたらと思います。
ここに来て、「あ、こんな感じでいいんだ」と私と赤ちゃんが接する姿から感じてもらえたら良いし、わからなくなったらまたここに戻って来てくれたらいいし。そうやってサポートしていけたらいいなと思っています。

肩に力が入りすぎてガチガチになっていた産後の私。
その記憶がよみがえってきて、思わず涙してしまった取材でした。「お母さんの笑顔が大事なんだよ、自分を責めなくていいんだよ」大友さんの言葉に心があたたかくなりました。
「産後に頑張りすぎて疲れ切ってしまってからでは、なかなか疲れが取れないので、雪の降りはじめくらいにきてもらえたら」と大友さん。
ひとりで悩み、疲れきってしまわないように・・産後ケアについて、多くのママ・プレママに知ってほしいなと感じました。

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大友さんのお話が直接聞けます!

はじめのひとくち展のご案内
10月20日(土)に開催するイベント はじめのひとくち展にて、「助産師さんに聞く〜母乳とミルクの気になるあれこれ〜」と題した大友さんによるステージを実施します。
「母乳神話は本当?」「母乳が出やすくなる食事ってあるの?」 「産後の生活で心がけたいこと」など、気になるあれこれをお話いただきます。(大友さんのステージは、12:15頃〜を予定しています)
また、ステージ終了後には個別相談も実施。
入場無料ですので、気軽にいらしてくださいね♪

***

はじめのひとくち展

hitokuchiten_topとき:2018年10月20日(土) 12:00〜17:00
ところ:ノーザンキッチン~オールデイダイニング~
札幌中央区南2条西5丁目26-5(クリックすると地図が開きます)
ラ・ジェント・ステイ札幌大通2F
入場無料

楽しく役立つステージやマルシェ、ライブなど盛りだくさんでお届けします!
アウトドアブランドロゴスによるキッズスペースもありますので、ぜひお子さんと遊びにきてくださいね。

イベントの詳細はこちらをご覧ください!

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食育フリーマガジン『mogmag(モグマグ)』代表取締役 編集長。
食育アドバイザー/幼児食インストラクター。

寒くて暑い旭川市出身。幼少期はおもに、自然豊かな「お米とでんすけすいかの街」当麻町にある祖母の家で、田んぼと畑を走り回って過ごしました。「思い出にはいつも食べものがある」食いしん坊の料理好きです。
大学進学を期に北海道をはなれ、都会の荒波にもまれる。卒業後、札幌にうつり印刷会社、広告代理店などをへて、2010年実父とお酒と音楽のお店 oyacoをオープン。
デザイン、イベントの企画運営、店舗運営に携わり、「占ナイト」「モテナイト」などユニークなイベントを展開。2012年惜しまれつつ閉店しました。
2012年よりフリーランスのグラフィックデザイナーとして活動し、2013年に長女を出産。
子育てをきっかけに「子どもと食」の大切さを見直し、2015年食育フリーマガジンmogmag(モグマグ)を創刊しました。
「ママも子どもも笑顔の食卓」をテーマに情報を発信し、おいしい笑顔をはぐくんでいます。
北海道新聞『朝の食卓』にて、コラム執筆中です。

ブログもご覧ください。
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http://www.sayakat.com

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