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暮らしと食

「いろんなお母さんがいていい」ーナナクラ昆布木村真依子さんの“自分らしさ”を大切にする食と子育て

2019.03.12
高橋さやか WRITER

高橋さやか

モグマグでは、ママならではの「子どもとの食を楽しむヒント」を届けたいという思いから、現役の子育てママへのインタビューをスタートしました。

第4回に登場するのは、ナナクラ昆布代表の木村真依子さん。
家業であった昆布の新しいニーズや価値を探り、もらってうれしいおしゃれな昆布の販売や、お出汁に関するワークショップなどを行っています。
プライベートでは、4歳の女の子のママである木村さん。昆布を若い人にも味わってほしい。 出汁や調味料などより手軽なものがたくさんあふれている世の中だからこそ、素材そのもののおいしさを忘れないでほしい。ーーそんな想いで、昆布の新たな価値を創造し続ける木村さんの「子どもとの食を楽しむヒント」とは?

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<お話をうかがった人>
木村真依子さん

nanakura_kimura新ひだか町出身。二代目昆布漁師だった祖父の、「自分の体が動かなくなったら昆布の商売を辞める」の一言がきっかけとなり、2015年にナナクラ昆布を設立。
「おしゃれな人はだしをとる」をコンセプトに、昆布の新しい価値を創造し続けている。

おだやかな冬の日。市電のロープウェイ入口前にあるナナクラ昆布へうかがいました。
シンプルながらも、温かみを感じる店内には、おしゃれなパッケージの昆布が品良くディスプレイされています。
「寒いですね。どうぞ〜」と言いながら、木村さんが出してくれたのは、丁寧にとった昆布のお出汁。
じんわりと優しく体にしみるお出汁をいただきながら、お話をうかがいました。

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味噌汁だけじゃない。和食に洋食にーー幅広く使えるお出汁

ーー今日はお時間をいただきありがとうございます。ナナクラ昆布さんに来るたびに、木村さんが出してくださるお出汁がとってもおいしくて。お出汁=いつも和食のイメージを持ってきました。

木村:お出汁は欠かさず常備していますが、和食ばかりじゃないんですよ。
洋食・和食関係なく何にでもお出汁を使っています。
トマトソースを多用しているんですけど、お水の代わりにお出汁を使って煮たり。

ーートマトソースに!お水の代わりにお出汁を使うという発想はなかったので、そう捉えるとグッと幅が広がりますね。

木村:昆布とトマトって相性が良いんですよ。
娘はカレーが大好きで、本当によく食べてくれるんですけど、その時にもトマトソースを使っています。
ひき肉のドライカレーに玉ねぎ、なす、マッシュルームをみじん切りにして入れて。
作った日の夜も、次の日の朝も、あわよくばその夜も・・笑

マッシュルームも多用していて、昆布にも合うので、みじん切りにしてソースを作ったりします。きのこと昆布出汁って相性が良くて、ぐっと風味が増すので。

IMG_8981ーー合わせ出汁のような感じで、相乗効果でおいしくなるんですね。私は、勝手に木村さん=お出汁=お味噌汁のイメージを持っていたので、トマトソースやカレーなど意外でした。

木村:実は、わたしがお味噌汁が苦手なので・・苦笑
出汁屋として、あるまじきことなんですけどね。

ーーいえいえ。逆に、お話を聞いてお出汁の活用の幅が広がりそうです。

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木村:本当は発酵食品と合わせると良いんですけどね。
ダシ=お味噌汁だけじゃなくて、他のお料理やスープなどに出汁を使っています。
昆布と煮干しの出汁に、塩・ごま油・卵をといて・・簡単な汁物を作ったり。
あとは、極細昆布が使い勝手が良くて、サラダや炒め物の仕上げに加えるとお料理の良いアクセントになるんですよ。

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ーー極細昆布は、私も使わせてもらってます。そのままポリポリ食べてもおいしいですよね。娘も「おいしい〜」と言って食べてました。

木村:私の娘もそのままだと食べるんですけど、お料理に使ってしんなりしちゃうと「昆布やだ」となっちゃうんですよね。

ーー同じ食べものでも、食感とかで好き嫌いってありますよね。

木村:子どもの好き嫌いスイッチは、バリエーションが多すぎて難しいですね。

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波を見極めるのが難しい。子どもの好き嫌い

ーーうちの娘は好き嫌いが色々あるんですが、木村さんの娘さんはどうですか?

木村:きのこがニガテですね。
保育園では食べてるみたいなんですけど・・「それなら、家でも食べたら?」と言ったら無理に飲み込んでいたので、その時は「無理しなくていいよ」と伝えました。

あとは・・通っている保育園で”炊きたてご飯”を大事にしているので、娘は白いご飯が大好き。逆に炊き込みご飯を全然食べてくれなくて。「炊き込みご飯おいしいしょ」って思うんですけどね〜。私が食べたい時があるので、作りたいんですけどね。

ーーうちの娘もどちらかというと白いご飯派で。炊き込みご飯を受け入れてくれる時もあるんですけど、子どもって波があるから、「白いご飯がよかったのに〜!」とご機嫌ナナメになっちゃう時もあって。難しいですね。笑

木村:その波を見極めるのが難しいですよね。
葉物野菜なんかもそのままでは食べなかったりするんですけど、リーフと昆布を合わせて生春巻きにすると、よく食べてくれます。家に人が来る時なんかもテッパンで作る一品。
子どもにとっては、掴んで食べるということだったり、ドレッシングの味も合わさって、食べやすいんでしょうね。

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我が家のおもてなし料理の鉄板は、極細こんぶが入った生春巻き。 お好みのリーフ類に、極細こんぶをパラパラ。味付けはナンプラーとごま油。 ワサワサ混ぜておくと、極細こんぶが水分を吸ってしんなり。 エビと一緒にライスペーパーに巻いて完成です。 おしゃれなひとはだしをとる ナナクラ昆布 nanakura-kombu.com 札幌市中央区南19条西14丁目2-23 第6サイトウビル1F TEL050-5328-1394 定休日 月/日/祝日 #おしゃれ #ナナクラ昆布 #市電 #ロープウェイ入口 #藻岩山 #出汁 #日高昆布 #みついし昆布 #昆布出汁 #moiwa #moiwayama #sapporo #ropeway #odashi #kombu #soupstock #テイクアウト #takeout #togo #kombudashi #broth #生春巻き #ナンプラー

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ーー食べやすい形だと食べたりってありますよね。
うちの娘は、爪楊枝にさすと苦手なものも食べたりしますね。

木村:私はおにぎりをよく作るんですが、「もっとちっちゃくちっちゃく」と言われたり。
つまんで食べやすいんでしょうね。

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当たり前だけど大切にしたい、一緒に過ごすごはんの時間

ーーお子さんとの食事の時間で心がけていることはありますか?

木村:当たり前のことではあるんですけど、一緒にいてあげられるよう心がけていますね。
子どものごはんを先に食べさせながら、他のことをして、大人のごはんはあとで・・としていた時期もあったのですが、成長するにつれて娘が「お母さんと食べたい」と言うようになって、「そうだよな」と。

ーー私もついつい、何かしながら相手をしたり・・となってしまって、しっかり向き合えていないことが多々ありますね。「ちゃんとお話聞いてる?」と言われて、ハッとしたり。

木村:以前、子育てに悩んでいた時に、「1日の中でたった5分だけでも、しっかり向き合う時間をつくると子供は満足するんだよ」と聞いて「なるほど」と思い実践してます。
その5分が思ったより長く感じたりするんですけどね。
実践する中で、「私は意外と子どもにかまってあげられていなかったのかも」と思いました。

「一緒に食べるには、ごはんが用意できるまで待ってなきゃいけないんだよ」と娘に伝えると、「わかってる、わかってる」ってちゃんと待っていてくれるんですよね

ーーちゃんと理由を伝えると、子どもってわかってくれるし、できるんですよね。

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ーー子どもの好き嫌いスイッチは、バリエーションが多すぎて難しいというお話をされていましたが、お子さんの食に関して、大変だなと感じたことは、他に何かありますか?

木村:うーん。そうですね。
大変というか、悩んだのは、毎日 保育園の帰りにお菓子を買わないと気をすまない時ですね。「ダメ」のやり取りを乗り越えて、家に帰ることがどうしてもしんどい時期で。
台所に立っている時に、娘が「遊んで遊んで」と寄ってくるじゃないですか。そこで、「これ食べて待ってて」と。
「良くない」と思いつつも楽な方に傾いてしまって、習慣づいた時は困りましたね。。

ーー「ダメだよ」のやり取りがしんどくなってしまう時ってありますよね。

木村:悩んでいた頃、保育士をしている私の妹に、「大変だけど、3日間我慢させれば子供はなれるから」と言われて。実践してみたら、がまんできるようになり、「わかってる。わかってる」と聞き分けも良くなりました。
今は、「お休みの日にはお菓子を買っていい」ということにして、メリハリをつけるようにしてます。

ーーちゃんと伝えれば、我慢できるんですよね。私も夏に「アイス買って帰ろう〜」という時期があって。私も食べたいし、ついつい流されていたんですけど、これはいけないと思ってやめたら、ちゃんと我慢できるようになりました。

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鬱々とした日々も少しずつ晴れていくーー子どもの成長、保育園のサポート

娘さんが9ヶ月の頃に、ナナクラ昆布をスタートしたという木村さん。仕事と子育ての両立についてもお話を聞いてみました。

ーーお子さんが生まれてから起業されたんですよね。私もそうなんですが、子育てと仕事のバランスって難しいなと感じるのですが・・木村さんはいかがでしょう?

木村:娘が9ヶ月の時に起業して、保育園に預け始めたんですが、最初の1〜2ヶ月は熱を出すことも多くて、開業したものの何もできない状態でした。

妊娠を機に、以前勤めていた会社を辞めたんですけど、「世の中に必要とされていないんじゃないか・・」と、マタニティブルーに陥ったんですね。出産後もさらに「自由なさすぎる」「本当につらい」「なんでみんな平気そうなの」という状態がつづいて鬱々としていました。きっとホルモンバランスとかの関係もあるんでしょうけどね。その時はそういうのがわからなくて。

ーー私も出産してからが躁鬱状態というか、気持ちの上がり下がりが激しかったので、すごくわかります。辛いんだけど、幸せそうにしてなきゃいけないんじゃないか・・と思ってました。

木村:今になって、娘が赤ちゃんだった頃の写真をみると、「どうしてこの頃もっと気持ちに余裕がなかったんだろう」って。この動かない時に、もっとなんでもできたのに・・と思うんですよね。
最近は娘が成長して対等に話せるようになったことで、子どもと二人で過ごすの時間も良いな、と思えるようになってきました。

ーー私も4歳すぎたくらいから、子どものいる生活に慣れてきたという感じで。娘が熱を出した時も、最近は「じゃあ今日はゆっくりしようかな。」と思えるようになりました。
娘さんの成長以外に、何か心境が変わるきっかけってありましたか?

木村:保育園の存在は大きいかな。
お母さん同士の関わりが多い保育園で、上にお子さんがいる人のお家に招んでもらったり、忙しい時にちょっと預かってもらったり・・そういう協力体制があって、助けられましたね。保育園らしからぬ大変さもあるんですけど。

ーーすごく良い環境ですね。

木村:同じ園のお母さんが、お休みの日に遊ぼうと誘ってくれたり、一緒にごはんを食べに行ったり・・そういった関わりの中で、「こうやって子どもと過ごせばいいんだ」と気付くこともあって、娘との過ごし方も変わりました。
以前は、子どもよりも仕事みたいなところが強かったんですけど、熱を出したときにも、「仕事ができなかったらできないで・・」と割り切れるようになってきましたね。
女の子なので、出かけてても楽しくて、一緒に買い物に行って「これ、かわいいね〜」と言い合ったり。最近は鬱々とすることが少なくなりました。

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作るところから食べるところまで、時間を共有できる楽しさ

ーー食事の方に少し話をもどしますが、お子さんとの食事の時間を楽しむ工夫って何かされていますか?

木村:お手伝いしてもらう、というのは大きいですよね。子どもも満足するし。
ご飯を運んでもらったり、牛乳やお水を注いでもらったり。見ている方は、ヒヤヒヤするし、こぼしちゃうこともあるんですけど、そこはグッとこらえて。
どこまで張り切ってやってくれるか。そういうのが食べる意欲になったりしますよね。

ーーうちもお箸やお皿を出して〜とお願いすると、私じゃ選ばないものを出してくれたりするので面白いですよね。

木村:大人と同じものを使いたい・食べたいという時期なので、「お母さんのお茶碗で食べたい」と言われて、お茶碗を交換したりとか。
行儀の悪いことはダメですけど、なるべく、子どもの意思を尊重するようにしていますね。

だんだん、大人と子どもで一緒に食べられるものが増えてきて、料理の幅が広がるのも楽しいですね。4歳頃からは一緒に台所に立ちたがるようになって、「野菜切ってみようか」とやったりしています。満足したら「やーめた」となるんですけど。笑
作るところから食べるところまで、時間を共有できるのは楽しいなぁと感じます。

子供の食は、まだまだ課題がたくさんですけど、正しいおいしさを選べるようになってきているのを見ると、ちゃんと味覚が育ってるんだな。と感じてますね

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「今も鬱々とした日々を乗り越えている最中です」という木村さん。最後に子育て中のお母さんに向けてメッセージをいただきました。

木村:私も誰かに声をかけられたいところだけれど。
みんながみんな「子育て=辛い」と思ってるわけじゃないので、鬱々としてしまってる人に向けて言うとすれば・・「がんばらなくても、なるようになるから」ということですかね。

小さくて大変なのは今のうちだけなんですよね。その大変な時期だからこそ、自分を一番大事にしてあげることが一番の薬だなって思いますね。
子どもを預けることや、辛いと感じてしまうことに罪悪感を感じないでほしいなって。

ーーそうですね。子育てを楽しいと感じられる人と辛いなと感じる人、どちらもいて良いし、罪悪感を感じなくていいんですよね。

木村:産んだら、「もうやめた」とはできないので、”母親として”という一般論はあるし、かわいそうな目に合わせないのは大前提だけれど、人生は自分のものだから。
保育園で「お母さんが幸せじゃないと子どもも幸せじゃない」と言われるんです。
最初はピンとこなかったけど、本当にそうだなって思います。
そうじゃないと、ちゃんと子どもに向かえないから。

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木村:最近は、仕事して、子育てして・・というお母さんが絶賛されがちだけど、毎日子供と向き合って子どものために旦那さんのためにとやってるお母さんはすごいなと思うんです。私にとって、仕事はどちらかというと息抜きみたいな感じなので。
まだ起業もしていない頃、「自分は何もできていない」と思って、そんな自分がいやだったんですけど、今は子どもと向き合う生活を続けてるお母さんを尊敬するし、お母さんていう存在は立場はどうあれ、みんなすごいと思うので、誰かと比較して鬱々としないで。と思います。

ーー仕事してるからすごいとかじゃなく、いろんなお母さんがいて良いんですよね。
子どももひとりひとり違うように、お母さんもひとりひとり違う。
みんなが「いいね」と言い合えるといいですよね。

木村:自分が自分らしくいられる状況が一番良いと思うんです。常に「自分は自分らしいだろうか?」と問いかけるというか・・それは仕事をしててもしてなくても。
そういう意味でも、自分を大切にしてほしいなと思います。

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仕事や子育てに対するスタンスが近い木村さんと私。
お話しながら、出産後、辛いと感じながらも、そんな風に感じる自分に罪悪感を抱えていた日々を思い出しました。最初から、子育てを楽しいと感じられる人と辛いなと感じながら少しずつ楽しめるようになっていく人、色んなお母さんがいていい。誰かとくらべて罪悪感を感じる必要なんてない。
「人生は自分のものだから」という木村さんの力強い言葉に、大きくうなずきながらのインタビューとなりました。

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ナナクラ昆布では日常使いの昆布をはじめ、「初めての離乳食セット」「はじめてのお出汁セット」など用途に合わせたギフトセットを取り扱っています。
洗練されたパッケージは、大切な人へのプレゼントにぴったりです。
店頭では、だしBARや梅昆布アイスなどのユニークな商品も。

ナナクラ昆布

nanakura_shophttp://nanakura-kombu.com/
〒064-0919
札幌市中央区南19条西14丁目2−23 第6サイトウビル 1F(GoogleMapが開きます)
札幌市電の電停「ロープウェイ入口」下車すぐ(店舗前駐車場1台あり)

電話番号:050-5328-1394
営業時間:11:00〜17:00
定休日 月曜・日曜・祝日
こちらから、お取り寄せができます。

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WRITER

食育フリーマガジン『mogmag(モグマグ)』代表取締役 編集長。
食育アドバイザー/幼児食インストラクター。

寒くて暑い旭川市出身。幼少期はおもに、自然豊かな「お米とでんすけすいかの街」当麻町にある祖母の家で、田んぼと畑を走り回って過ごしました。「思い出にはいつも食べものがある」食いしん坊の料理好きです。
大学進学を期に北海道をはなれ、都会の荒波にもまれる。卒業後、札幌にうつり印刷会社、広告代理店などをへて、2010年実父とお酒と音楽のお店 oyacoをオープン。
デザイン、イベントの企画運営、店舗運営に携わり、「占ナイト」「モテナイト」などユニークなイベントを展開。2012年惜しまれつつ閉店しました。
2012年よりフリーランスのグラフィックデザイナーとして活動し、2013年に長女を出産。
子育てをきっかけに「子どもと食」の大切さを見直し、2015年食育フリーマガジンmogmag(モグマグ)を創刊しました。
「ママも子どもも笑顔の食卓」をテーマに情報を発信し、おいしい笑顔をはぐくんでいます。
北海道新聞『朝の食卓』にて、コラム執筆中です。

ブログもご覧ください。
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http://www.sayakat.com

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